リフキシマ(一般名;リファキシミン)という薬

 リフキシマ(一般名;リファキシミン)という薬が201611月に発売されました。

抗菌剤です。特殊な抗菌剤で、日本では肝性脳症における高アンモニア血症に対してのみ適応となっています。(体に吸収されず、腸の細菌に効果がある薬です)

一般の方には馴染みのない(処方されない)お薬だと思います。

この薬は、日本での発売は去年末ですが、海外では(イタリアでは)1985年に承認され(30年以上前の話)、世界60カ国以上で使われています。

 

私が以前から診させていただいている患者さんで、この薬の国内での発売を待ちに待っていた方がいらっしゃいました。

肝臓が悪く、ここ数年は23カ月に1回は、肝性脳症(血液のアンモニア値が上がってしまい、意識が無くなってしまう状態になること)を起こされていました。

勿論、色々な薬は処方していました。それでも肝性脳症は起き続けました。

 

C型肝炎ウイルスは、2016年初頭に飲み薬で治すことができました。

しかし、その後も肝性脳症は繰り返して起こしていました。

発売と同時に、リフキシマを処方しました。・・・、すると肝性脳症を起こさなくなりました。その患者さん、ご家族の方にはものすごく喜ばれました。(私も当然うれしい)

 

ただし、リフキシマをこの先いつまで飲まなければならないかも問題です。

1錠、約200円するお薬です。それを16錠飲まなければなりません。(と言っても、私は13錠で十分だと思います) 通常の処方であれば1日約1,200円です。1カ月で約36,000円(保険負担3割の方で約10,000円の負担)

この薬だけではなく、他の薬、検査代等も必要となることが多いので、経済的な負担も大きいと思います。

幸いにも、この方はC型肝炎の治療はできていますので、いつかは飲まないでも大丈夫(肝硬変状態が改善する可能性があるので)となる時が来るとは思います。

 

海外では30年以上前から使われているリフキシマ、実は以前からその有効性の報告はありました。

NEJM(ニューイングランドジャーナルオブメディスン)という超有名医学雑誌では、

20103月にリフキシマは肝性脳症に有効であることは報告されています。(海外文献ですので、いつもその投与量は多い傾向にあり、この投与量は日本人のほぼ2倍です)

最近では、2015年のBMJ(ブリティッシュメディカルジャーナル)有名海外雑誌で、「肝性脳症にはラクツロースで効果なければリフキシマ(一般名;リファキシミン)」という結論のようです。

これまで、肝性脳症で困っていた患者さんが助かる薬の登場は喜ばしいことで、私が処方している他の患者さんも肝性脳症は起こさなくなりました。

本当にいい薬だと思いますが、申請から承認(売っていいよという役人の許し)が出るのに、少々時間がかかったようです。もう少し、早く発売して欲しかった薬です。

 

実はリフキシマ(一般名;リファキシミン)、海外では他の病気に使われています。

過敏性腸症候群の一部です。知らない方もいるかもしれませんが、実はかなり多い病気です。日本人10%~15%に認められるという報告もありまます。

2011年のNEJMでは、1550mg132週間飲んだら、症状が改善したという報告です。

これのみで過敏性腸症候群(下痢型)はリフキシマを!というのは短絡的ですが、小腸内の細菌叢を改善させる可能性のある薬としてありかと思います。

 

現時点では肝性脳症に対してのみに使用されているリフキシマですが、数年後には、色々な腸の病気に使われているかもしれません。

ただし、長期投与(肝性脳症であれば年単位で処方する場合があるため)に関しては、明確なデータがないのは心配です。

抗菌剤の長期投与で、腸内細菌叢はどうなってしまうのか?

投与中は、ヨーグルト食べたほうがいいのかも(食べる量も問題となるでしょう)不明です。

 

海外では30年以上前からある薬・・、良い薬であるのは間違いないと思いますが、投与期間を考えると(長期)少々不安もあります。

 

 

 

 

 

 

 

コメント

  1. 平山真史 より:

    短文で失礼します。

    この薬は高齢者でも使える薬でしょうか。

    北九州市在住
    平山真史

  2. hisatomi_clinic_blog より:

    返信が遅くなり申し訳ございません。

    基本的には高齢者でも使用可能です。