睡眠と糖尿病

先日放送された、「ためしてガッテン」が物議をかもしています。

糖尿病と睡眠の質との関連性が取り上げられ、その中で「スボレキサント(商品名ベルソムラ)という、
比較的新しい睡眠障害治療薬を使用することで、血糖コントロールが改善できる。」という部分が特に問題視されているようです。

たしかに大阪市立大学教授(公立大学)が商品名をわかるようなお話しをNHKでするのは?という部分は気になりますが、それほど問題視する必要は・・・と思います。

ただし、糖尿病治療薬=睡眠薬と考えるのは当然、間違いですけどね。

そもその、睡眠と糖尿病は深い関係にあることなんて以前から報告されています。

  1. 2型糖尿病患者の4割以上に不眠が見られる。(2001年の海外の論文にあります)
  2. 睡眠時間5時間以下、睡眠困難な男性は糖尿病になりやすい。(「Diabetes care」2005年)
  3. 睡眠不足は耐糖能を悪化させる。(Spiegel K et al. J Appl Physiol 2005.)

もう15年前から言われていることです。

大阪市立大学の先生方は、

〇2015年に63名の2型糖尿病患者に脳波計を用いて、睡眠の質を判定。その結果、糖尿病が悪化すると、レム睡眠潜時が短縮し、血糖が悪化することを報告されています。(動脈硬化とも関連づけられています)その後に、スボレキサント(商品名ベルソムラ)によって改善される研究をされているのです。

おまけに、これもちょっと面白い論文で、

〇2016年にオランダの研究チームにより、睡眠時間は少なすぎても長すぎても糖尿病になりやすい。(男性は、睡眠時間7時間以上、以下はよくないよという報告)というのもあります。

良い睡眠をとることは健康にいい!というのは間違いないと思います。(これは常識的といってもいいかも)

良眠は、そう簡単ではないのも事実で、スボレキサント(商品名ベルソムラ)(2014年発売)を使用して糖尿病を改善させるというのも一つの方法かもしれません。

ちなみに、わたしはスボレキサントを発売時より処方しています。ただし、その真の安全性も、まだ分かっていな現時点で、糖尿病ならスボレキサントで治療?というのは、将来の薬自体の安全性を考慮すると・・?という印象です。

ただし、非常にユニークな発想であり、大阪市立大学の先生方には続けていただきたいと思います。