なめてはいけない肝がん探し(小さいサイズで見つける)

20172月のYahooニュースに「高齢者の肝がん問題」が掲載されていました。要するに、高齢で手術をしても、延命できるか?、術後の合併症(認知を含め)が問題になっているようです。

確かに、高齢者を手術するのは(近年の手術手技、術後管理の発展を考慮しても)簡単ではないと思います。だからこそ、高齢者に負担がかからない治療法をする、つまり、体への負担が少ない治療法を選択するということにはならないのが、最近(以前から)の風潮のようです。

 

私は、肝がんの局所治療(エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法)を専門にしています。

患者さんへの負担(治療後の影響)を考えれば、なるべく小さく治療すべきだと思います。

ただし、肝がんのガイドライン(偉い先生方がお決めになった方針というもの?)では、場合によっては小さいガンは治療しなくてもいいようです。(マジか?C型肝炎が治っていても?)

私も肝臓のできものは、なんでも治療するという無茶苦茶なことを申しているわけではありません。

一例をお見せします。(つい最近の)

60才台の男性です。C型肝炎は2015年に内服治療で完治しています。1月にエコー検査で、肝臓の一部に陰を見つけました。(赤丸で囲んだ部分)

大きさは10ミリ程度であり、腫瘍マーカー(AFPPIVKA-Ⅱ)も上がっていなかったので、経過観察することにしました。

翌月に行った造影超音波検査(造影剤を入れて、できものの診断まで可能となります)を行うと、黒かった陰は少し白くなり、その後に黒くなります。(典型的な肝がんの所見です)

すぐCTを撮ってもらいましたが・・・CTには何も映っていなかったようです。(赤丸の?部分にあるはずです)

特別な例をお見せしたかったのではありません。

よく私が経験するものです。

この患者さんは、この部位をラジオ波15ミリほど焼くことで十分な治療ができます。(医師によってはこの大きさのできものも「30ミリは治療しないといけない。」と大胆なん発言をされる方もいらっしゃるかと思います)

 

さて、話を戻します。

すべての患者さんが、こう簡単(再発が1個だけなど)ではありませんが、丁寧に経過観察するからこそ(できれば1/1カ月)、小さく見つけられ、術後の心配をしない治療ができると思います。

高齢者の肝がん治療は、術後が・・を問題視する前に、体に負担が少ない治療法を!とすることが大切な気がします。そのためには、小さいサイズを見つけることが重要だと思います。