健康診断などでお腹のエコーをされて、「脂肪肝ですね。」と言われた方は多いと思います。
すると医者からは、「瘦せるようにしてください。」や「この薬を飲んでください。(ウルソデオキシコール酸などが多い)」と言われた方も多いと思います。
多分、そのお医者さんは、非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)、アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、そして代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)の区別がついていない方だと思います。
特に代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(マフルドと読みます)は、2020年に提唱された病名なので、知らない医師も多いのは仕方ないことかもしれません。
MAFLDの診断は案外簡単です。(下のチャートに従った診断可能です)
非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)言われていた患者さんが、実は代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)であることがあるかと思います。
では、NAFLDとMAFLDの違いは何でしょうか?
まだ、明確な結論(病名が提唱されて3年経っていませんので)は出ていませんが、
代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)は、
- 肝臓が硬くなりやすい(将来的には肝がんになる可能性もあります)
- 狭心症、心筋梗塞、脳梗塞等になりやすい
- 大腸がんなどのガンになりやすい
などが言われています。
それなら、代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)を見つければ・・ということになると思いますが、話はそれほど単純ではなく、非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)、アルコール性肝疾患(ALD)、代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)はそれぞれ別個に診断できずに、かなり重なって診断される場合があります。 岐阜大学の三輪先生の実際のデータでは、
となっています。
ただし、ALTという肝臓の重要な数値は、非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)単独よりも非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)+代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)の合併例が明らかに高くなっていると報告されています。
新しい概念の脂肪肝、代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)ですが、診断することは重要であると言えるかと思います。
代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)の治療は、生活習慣の改善は勿論ですが、改善できる薬剤もありますので、適切な診断を行って治療することが重要です。(ちなみに、ウルソデオキシコール使用することは、あまりないと考えます)