PPI(プロトロンポンプ阻害剤)って悪党なのか?

最近、PPIの副作用が多く報告されています。

そもそも、胃酸を抑える薬はH2ブロッカーというものがあり、それがより強力になった胃薬がPPIです。それまで、入院が必要であった胃潰瘍も(かなり古い話ですが)、この薬の登場で、入院していだくことも少なくなりました。短期の副作用が比較的少なく、比較的投与しやすい薬ですが、最近ではその副作用が大きな問題となっています。

海外文献より、

  1. 腎臓に悪い!(2015年の「JAMA Inter Med.」で、慢性腎不全は1.5倍、「CMAJ Open」で、急性腎不全は2.52倍に)
  2. 腸に悪い!(2012年の「Am J Gastroenterol」で難治性の腸炎の原因菌による感染症の危険性が1.74倍/2016年の「British Journal of Clinical Pharmacology」でも同様の報告があります
  3. 骨に悪い!(2012年の「BMJ」で、閉経後女性がPPIを2年以上使用した場合、大腿(だいたい)骨近位部(股関節に接する部分)の骨折リスクが1.35倍/2015年の「Osteoporos Int.」に骨折の危険度1.33倍、しかも飲んで1年以内で)
  4. 頭に悪い!(2016年の「JAMA Neurology」では、認知症の危険度が1.33倍でアルツハイマー型認知症は1.44倍になるとの報告も出ていました)

比較的信頼おける文献で、その危険度は明らかになっているようです。

(また、ビタミンB12吸収障害で貧血になったり、しびれがでてくる可能性も報告されています)

逆流食道炎という保険?病名をつけて長期投与していましいる方々(私も含んだ医師)、そろそろ気を付ける、または中止、変更する時期なのかもしれません。では、H2ブロッカーにする?・・H2ブロッカーにも多くの副作用報告がありますから悩ましい。