NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の治療(海外文献より)

「Effect of liraglutide therapy on liver fat content in patients with inadequately controlled type 2 diabetes. The Lira-NAFLD study」(J Clin Endocrinol Metab.2017)
「糖尿病治療薬(リラグルチド)による脂肪肝を改善効果」についての論文です。

ちょっと小難し話になるので、少し解りやすく?ビクトーザ(一般名;リラグルチド)を説明すると、
ビクトーザは血糖値が高いときに、インシュリンを出させて血糖を下げる薬です。
この薬は小腸から分泌されるホルモン(インクレチンと言います)を血糖値が高いときだけ「出せ~~!」って感じで放出させる作用があります。(でも、注射薬というのは使い勝手が・・・です)
ビクトーザ(一般名;リラグルチド)はGLP-1アナログと言われ、動物実験や臨床研究で、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)に効果があるという報告はあります。
例えば、2016年2月の「THE LACET」(有名な医学雑誌)では、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)患者さん52名にリラグルチドを使用して、NASH患者の39%に病理所見に改善が認められたという報告があります。

さて、この文献は2型の糖尿病(つまり、普通の糖尿病)で内服治療しているにもかかわらずHbA1c7.0%以上(コントロールがいまいち)の患者さん68名に、ビクトーザ(一般名;リラグルチド)を一日1.2mg皮下注使用(日本では0.9mgまでしか使用できません)で6カ月間経過観察されています。
脂肪肝の状態はMRIで計測されています。(本当は肝生検の方が信頼度は上げると思います)
結果は、ビクトーザ(一般名;リラグルチド)使用で、体重、HbA1c、ALT(肝機能の数値)は優位に下がって、脂肪も31%低下したというものでした。
これは痩せたから改善したという単純な結果のような気もします。
そう言えば、2015年7月の「the New England Journal of Medicine」では、ビクトーザを3.0mg使用して(日本では使えない量です)、体重が減ったという報告があります。(アメリカではビクトーザは異常に太った方々の治療薬として許可されています)

さて、良いとに思える(思えないかもしれませんが)ビクトーザ(一般名;リラグルチド)。
問題もあります。この薬は注射薬であり、しかもお高いのです。1本1万円(20日分ほどは使用可能)で、毎日注射しなければなりません。しかも、在宅自己なんとかという診察代、血糖を測定しないといけないし、そのことでの診察代も加わってきます。お金はかかるし、色々と面倒なのです。

糖尿病の薬で、やせ薬みたいなのがあって、それ使うと脂肪肝がよくなることあるんだってよ~~、程度の理解でいいような気がします。