脂肪肝ドックが始まっているらしい

日経トレンディネットで“脂肪肝ドック”が2016年末より神奈川県内で始まっていることを知りました。

脂肪肝の状態を知るためのドックが始まったというのは、一般の方にも悪い脂肪肝があるという意識がでてきていると感じ少しうれしくなりました。

38日にテレビ東京(関東地区のみで放送)の「L4YOU」というその内容が放送されたようです。

便利な時代です、ユーチューブでその番組を見ることができました。

実際に見てみると・・・・?です。

その病院での人間ドックは画像診断のみが行われているようです。(多分)

番組に登場した患者さん(典型的な脂肪肝炎の女性)の検査が行われていました。

お腹のエコー検査、そしてその病院の一番の売り?と思われる、MRIを使っての肝臓の状態の評価です。

脂肪肝の程度と肝臓の硬さを、主にMRIのエラストグラフィ機能を用いての診断でした。

(日経トレンディネットに掲載されていた画像ですが、物々しい撮影が30分以上続きます)

日経トレンディネットでは、この検査は35,000円(税別)するそうです。

本当に必要な検査なのでしょうか?

番組にでていたエコーの画像、少しだけしか映りませんでしたが、これは既に肝硬変の手前の状態を示していました。

MRI検査で、肝臓の脂肪の程度と硬さが分かる!ということに異論はありませんが、真面目に?見れば、エコーで脂肪のついている程度、また硬さも解ります。

*エコーの左の図は肝臓が腎臓より少し白いことを示し、右は手前の薄緑と下の(奥の)緑色の部分の肝臓の色はほぼ同じです→このことより肝臓の脂肪沈着は全体の30%程度以下であると想像され、実際の肝生検で30%未満でした。

 2014年日本消化病学会のNAFLD/NASHのガイドライン(お偉い先生方が決められた方針的なもの?)では、「超音波とMRIなどの新しいエラストグラフィー(硬さを計測する装置)などの有用性も報告されてきている。」とされている程度です。

2015年の日本肝臓学会の診療ガイドでは、「特にMRIスペクトロスコピーは脂肪肝の診断に優れている。」と脂肪肝にはいいよとは書かれていますが、硬さは書かれていません。

 

脂肪肝ドックにMRIを用いるのを否定するわけではありませんが、35,000円を払って受けるような検査ではないような気がします。

そんな余裕があるなら、普通のお腹のエコーで(硬さも測ってもらい)、定期的に受ける方がいいように思います。

 

ちなみに、お腹のエコーの保険点数は530点(つまり5,300円)です。

自由診療で少しお高く設定されていたとしても、3回以上は余裕でエコーなら受けられます。

 

で、話は戻りますが、テレビに登場されたドックを受けた患者さん。

事前の問診(医者との話で)で、高血圧、糖尿病とコレステロール異常を指摘されていたようです。

そもそも、そんな方は、ドックじゃなくて、ちゃんと診察を受けるべきだったと思います。

ドック前にかかっていた医者(この患者さんを診ていた)が一番問題だと思います。